Washington D.C.

人を旅にいざなうきっかけは、友の何気ないひとことであったり、書店でふと手にした文庫本の1ページであったり、さまざまである。 旅に出る明確な動機のひとつが<駅を見ること>であり、<鉄道による”移動そのもの”に限りない魅力を感じる>というノーテンキな建築家の旅ばなし。

「行き先不明ですが、よろしくお付き合いください」。

Washington D.C.

Washington D.C.

クリスマスの飾りつけが施されたワシントンDC.ユニオン駅コンコース

 アメリカの空港で、荷物をピックアップして税関を通過すると、そこにずらーっと並んでいるのは「AVIS」「Herts」「Dollar」「Budget」・・・・レンタカー屋さんのカウンター。 空港ビル出たところに、ミニバンかバスが5〜15分ほどで迎えにきて、レンタカー屋さんの駐車場まで運んでくれる。そこからはあなた自身がドライバーになって・・・という仕組み。

 バス以外の公共交通がないところも多く、ホテルまでバス、中心市街地までバス、最寄りの地下鉄駅までバス等々さまざまな選択肢があるが、事情が許せば自らの運転でというのが便利なのがアメリカ。 というか、車がないと不便なような都市の仕組みをつくったのである。 ポートランド(オレゴン州)の市民に聞いた話だが、かつての「ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)」は、車の販路拡大のために、鉄道会社を買収して潰して・・・という暗黒の歴史がある。

 圧倒的な車社会が、行くとことまで行くと、車の増加に合わせて、片道8車線などというお化けのような道路(ロス〜サンタバーバラ間にあった)まで、つくらなくてはいけなくなる。それでもラッシュ時には渋滞する。

 車社会の浸透により、また国内でも遠距離移動は航空機という時代になって、鉄道交通はほんの一部の人々のものになった。利用者減がまたダイヤの本数を減らし、という悪循環により、さらに利用者が減り、駅舎建築に関しても、営繕費用さえまかなえないような事態となり、 少なからぬ駅が姿を消し、姿のあるものも限りなく廃墟に近づいていた。首都の駅でさえ例外ではなかった。 (to be continued)

写真・文:Jin Richard Kurita 日本国籍の建築家、2つの大学の非常勤講師、テレビ(テレ朝系)のコメンテーター、近著『Schroder House』,『Horta House』((いずれもバナナブックス刊)、『LRTが街を変える』(都市文化社)ほか。

鉄道と駅と建築に特化する旅
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